コラム
Column
仏壇にお供えするお菓子のマナーとは?水引・掛け紙の選び方、費用相場について解説
故人をしのび手を合わせる際に、お供え物をすることは日本人にとってなじみ深い習慣です。
お供え物としてお菓子が選ばれることも多くありますが「弔辞にふさわしくないお菓子があるのかも」「水引や掛け紙はどうすればいいのか」などの疑問も生じがちです。
今回は、お菓子をお供えする際の水引や掛け紙のマナー、お供え物としてのお菓子の選び方や相場について解説します。
故人の冥福を祈りつつ、気持ちを込めたお供えができるよう、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
お盆やお彼岸のお供え用におすすめのお菓子
「お供え物にふさわしくない」とされている食材以外であれば、基本的にはどのようなお菓子を選んでも問題はありません。
洋菓子、和菓子など種類も問いません。
故人の好きだったお菓子でも良いでしょう。
お菓子を選ぶ際は常温保存が可能で、かつ日保ちがするものを選ぶと長期のお供えでも安心です。
この章では、具体的におすすめなお菓子を紹介します。
ちなみに、お供え物に適さないものとして「五辛」と呼ばれる農作物(にんにくや生姜など)、肉・魚、香りの強いものなどがあげられます。
肉や魚などがお菓子に含まれることはあまり多くありませんが、マナーとして覚えておくと良いでしょう。
【クッキーなどの焼き菓子】
焼き菓子は含まれる水分量が少ないうえ、砂糖が多く含まれており日保ちするため、お供え物として人気があります。
中でもクッキーは特に水分量が少なく、日保ちするためおすすめです。
ただ、焼き菓子の中には賞味期限が数日のものも多く、長期のお供えには不向きなものもあるため、購入時によく確認するようにしましょう。
〈なぜ砂糖が含まれていると日保ちするのか〉
砂糖を一定量含むことで、食品中の水分を砂糖が抱え込む形になります。
これによりカビなどの繁殖が抑えられるため日保ちするのです。
【水ようかんやゼリー】
水ようかんや真空パックされた容器に入ったゼリーは日保ちするため、定番のお供え物と言えるでしょう。
基本的に生菓子は含まれる水分量から日保ちしないものが多いですが、水ようかんやゼリーは例外です。
水ようかんやゼリーは容器が密封されていることなどから、日保ちするケースがほとんど。
涼しげな見た目の水ようかんやゼリーは、暑いお盆の時期にぴったりでおすすめです。
【落雁などの砂糖菓子】
落雁は、仏壇へお供えする和菓子としての印象があるのではないでしょうか?
落雁をはじめとする砂糖菓子は水分量が少なく、乾燥しているため日保ちもしますし、蓮の花をかたどった落雁は仏教のシンボルとされており、お供え物として定番なのもうなずけます。
お供えしたあとはそのまま食べるのもいいですし、コーヒーや紅茶に砂糖の代わりとして入れたり、お菓子作りに活用したりなどアレンジが利くところも良いですね。
【米菓】
せんべいやあられなど、甘くないお菓子を選ぶのもおすすめです。
米菓も水分量が少ないお菓子なので、かなり日保ちします。
味のバリエーションが豊富なのも喜ばれるところでしょう。
お菓子は仏壇にいつまでお供えするもの?
傷む前に下げるのが一般的で、実は長期間お供えする必要はないのです。
賞味期限が短く、傷みやすいものをお供えした場合でも、手を合わせたあとにすぐ下げてしまっても、マナーのうえでは問題ありません。
だからと言って、生ケーキなどの要冷蔵品を選ぶのはおすすめできません。
お盆やお彼岸の期間中は、仏壇にお供えしたままにしておくことも多いため、日保ちするものを選ぶ方が安心です。
【お供えしたあとのお菓子はどうする?】
お供えしたあとは、家族や集まった親族などと分けて食べることが一般的です。
「お供えしたものを食べていいの?」と疑問に思われるかもしれませんが、むしろお供えしたままにして腐らせたり傷ませたりする方がご先祖様や本尊様への失礼にあたります。
お供えしたお菓子は賞味期限や消費期限が切れる前に、ご先祖様から分けていただいたものとして、感謝の気持ちを忘れず食べてしまいましょう。
お供え用お菓子の水引や掛け紙のマナー
お盆やお彼岸など、お供え物としてお菓子を用意する際、箱の上から掛ける紙が「掛け紙」です。
親しい仲や親族であっても、掛け紙なしにそのまま手渡しするのはマナー違反。
きちんと礼儀を払い、適切な準備を行いましょう。
【水引のマナー】
掛け紙、またはのし紙に欠かせないのが水引です。
お盆のお供え物の場合、水引は黒白結び切りが基本ですが、地域によっては黄白結び切りが選ばれることもあります。
どちらを選んでもマナー違反ではありませんが、不安な方は事前に確認しておくと安心です。
また、お彼岸では黒白や双銀を選ぶと間違いがないでしょう。
【掛け紙の書き方と付け方】
掛け紙は包装紙の上からかける「外のし」が基本ですが、外のしはお供え物を直接手渡しする場合、内のしはお供え物のみを贈る場合に使われます。
ただし、どちらの掛け方でもマナーとしては問題ありません。
表書き(掛け紙に書く言葉)は「御供」を使用するのが一般的です。
贈り先が新盆(初盆)の場合は「新盆御見舞」を使用する場合もあります。
文字は水引の上、中央のあたりに大きく書きましょう。
毛筆のフォントであれば、印刷でも問題ありません。
万年筆やボールペンで書くのはマナー違反となるため、注意が必要です。
【贈り主の名前(名入れ)】
表書きの下に贈り主の名前を入れることを「名入れ」と言います。
名入れは表書きよりも小さめに、苗字のみ、またはフルネームで書きます。
必ず名入れをしなければならないという決まりはなく、名入れせずにのし紙を掛ける場合もあります。
複数人の場合は名前を書く順番などにルールがあるため、注意が必要です。
・贈り主が2~3名の場合:目上の方から、もしくは五十音順に右から左へ
・贈り主が3名以上の場合:代表者の名前を中央に書き、その左側に「外一同」、職場の仲間で贈る場合は「総務部一同」「有志一同」などとまとめて書く
〈のし紙と掛け紙の違い〉
本来「のし」とは、紙の右上にある小さな飾りを指し、のしが付いた掛け紙を「のし紙」、それ以外を「掛け紙」と呼びます。
のしは縁起物であるため、お祝い事などの贈り物にはのしが付いた紙を使用します。
しかし一般的には、のしのあるなしに限らず、すべて「のし紙」と呼んでいる場合の方が多いです。
弔事の贈り物に掛ける紙を購入する際は、名称にとらわれず、右上にのしが印刷されていないものを選ぶようにしましょう。
〈そもそも水引とは?〉
水引は飾り紐のことで、掛け紙やご祝儀袋などの表に用いられます。
主に「結び切り」「あわじ(あわび)結び」「花結び(蝶結び)」「梅結び」などがあり、使用する場面できちんと使い分けなければなりません。
結び方 | 意味合い | 所以 | 使用シーン |
結び切り | 繰り返してほしくない | 一度結ぶとほどくのが難しいことから | 結婚式のご祝儀や病気のお見舞い、お葬式など |
あわじ(あわび)結び | 末永く続くように | 結び切りより複雑な結び方のため | 結婚式などのお祝い全般、今回かぎりのお祝いやお礼、弔事など |
花結び(蝶結び) | 何度起こってもうれしい | 簡単にほどくことができるため | 出産や入学、お年玉、お歳暮(お中元)など |
梅結び | 縁起物 | 元来梅が持つ縁起物のイメージなどから | 結婚など |
お盆やお彼岸、法事などの弔事では「結び切り」か「あわじ(あわび)結び」を使用しましょう。
お供え用には避けた方が良いお菓子
・要冷蔵のお菓子
・日持ちしないお菓子
・お祝いごとで贈られるお菓子(縁起物をなぞらえたお菓子)
・香りの強いお菓子
・香辛料を多く使ったお菓子
これらはお盆やお彼岸のお供えには適さないため、避けるようにしましょう。
香りの強いものや辛いものを避ける考えは、仏教の教えを基としています。
掛け紙のマナーなどにも言えることですが、仏教以外の宗教にはまた違うルールが存在するため、確認が必要です。
お供え用お菓子の相場
お菓子に関して言えば、だいたい3,000~5,000円が費用の相場とされています。
ただ、お供え全体として言えば相場の幅はとても広く、渡す相手との関係性によって異なります。
お供え物をいただいた際のお返しは、品物の3分の1から半分程度の金額で選ぶのがおすすめです。
あまりに高価なものををお返しすると相手に気をつかわせてしまいます。
お供え物の渡し方
お供え物を持参する場合は、訪問先へ事前に連絡しておきましょう。
実際に訪問したら「御仏前にお供えください」など、一言添えて施主に渡します。
大抵の場合、玄関などで施主と挨拶を交わすため、そこで渡しましょう。
施主以外に渡したり、自分で勝手に仏壇へ飾ったりすることは当然マナー違反です。
この際、お供え物を入れている紙袋から出して、お供え物だけを渡すのがポイントです。
より丁寧なのは、紙袋ではなく風呂敷を使うことですが、一般的に紙袋での持参も多いためどちらでも問題はありません。
風呂敷も紙袋も、使用後は自分で持ち帰るようにしましょう。
【お供え物を配送する場合】
配送するときは、お供え物が届く日程に注意しましょう。
お盆の法要を行う場合、法要の日取りの1週間前から前日までに。
通常のお盆であれば、お盆入りの前日までに到着するように送りましょう。
例えば、お盆を8月13日から行うお宅には、前日の8月12日までに到着するようにします。
なお、クール便を使用する場合は受け取り側の都合が良い日時を事前に確認してから発送の手配をしましょう。
お供え物の置き方
仏壇にお供え物を置く際にはいくつかのルールがあります。
・お菓子などは懐紙の上に置く
・個包装のものは袋から出さない
・折って平らになった方が仏壇側
それぞれ詳細を解説します。
【お菓子などは懐紙の上に置く】
お菓子や果物などをお供えする際は直接仏壇に置かず、お皿の上や器に「懐紙」と呼ばれる和紙を敷いてから置くようにしましょう(※)。
もしお菓子を置く専用の仏具(「高杯」や「段盛り」)があった場合は、その上に懐紙を敷いて置きます。
懐紙は、角を1つ持ち(図の星マーク)点線に沿って折りたたみます。
このとき、折る方向を間違えないよう注意が必要です。
平らな方を手前にして持った場合、右手側が上に被さった形が正解です(着物で言う「左前」の形)。
※懐紙がないときは、書道で使う半紙でも代用が可能です。
〈個包装のものは袋から出さない〉
個包装のものは封を切らず、そのままお供えします。
前述の通り懐紙を敷いてから、個包装のままお供えしましょう。
【折って平らになった方が仏壇側】
懐紙を折ったら、平らな方を仏壇側へ向けてお供えします。
基本は箱から出してお供えするものですが、もしも箱ごとお供えする場合は、お参りする側から、掛け紙の文字が読める向きに置くのが一般的です。
お供えにおすすめな香梅のお菓子
故人をしのぶ気持ちを表す、心を込めたお供え物。
今回さまざまなお菓子を紹介しましたが、実際に選ぶとなると悩んでしまうものです。
お菓子選びに迷った際は、お菓子の香梅の「誉の陣太鼓」はいかがでしょうか。
小豆の中でも最高級の大納言小豆を、一粒ひとつぶ選別したものを使用しています。
熊本・阿蘇の清らかな伏流水で炊き上げることで、素材の持ち味を丁寧に引き出し、上品な甘さに仕上げた小豆あんでやわらかな求肥を包んだ熊本の代表銘菓です。
常温で長期間の保存を可能にするパッケージの紙缶詰製法にて、甘さを抑えたみずみずしいおいしさを長期間保つことができます。