2024.11.20

ひな祭りはいつから人形を飾る?桃の節句の意味や由来について解説


女の子の健やかな成長と健康を願う「ひな祭り」。

春の訪れを感じる季節にひな人形を飾る風習は、日本人にとってなじみ深いものです。

楽しみなイベントの一つですが、準備の際にいつひな人形を出して、いつ片付けたら良いのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回はひな人形を飾るタイミングや、ひな祭りの由来などについて解説します。

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ひな祭りとは

お雛様とお内裏様

ひな祭りとは、3月3日にお祝いする女の子の健やかな成長と健康を願う日本の伝統行事です。

ひな人形は女の子の代わりに災い(穢れ)を受けてくれるとされています。

そのため、女の子は怪我や病気にかかることなく成長できると信じられてきたのです。

人形を飾る際には女の子がこれからも元気で、幸せでいられるよう願う気持ちと、お祝いの気持ちを欠かさないようにしましょう

ひな人形には「お内裏様」と呼ばれる男性の人形と「お雛様」と呼ばれる女性の人形が対で存在します。

これは天皇と皇后の結婚式がモチーフであるためです。

かつて天皇の御殿を「内裏」と呼んだことが転じて人形を「お内裏様」と呼ぶようになったのだそう。

【ひな人形について】

ひな人形は女の子の代わりに厄を背負ってくれる、いわゆる厄払いの意味を持つ人形です。

そのため、女の子1人に1セットが基本とされています。

女の子が複数人いるご家庭の場合、長女にはひな人形を、2人目以降の女の子には市松人形や、つるし雛を贈る風習の地域もあるようです。

また、天皇と皇后の結婚式がモチーフであるため、それにあやかって良縁や幸福への願いも込められているとも言われています。

平安時代頃には「流し雛」と言って、和紙や草木で作った人形に自分の災厄を移し、川や海に流していました。

しかし、江戸時代頃から精巧な造りをした人形が作られ始めるように。

そして江戸時代後期には今の雛人形の形に近い古今雛(こきんびな)が登場。

人形のこうした発展により、流し雛より家に飾ることが主流となったのだと考えられます。

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【上巳の節句と桃の節句について】

小さい雛人形

ひな祭りに関連するものとして「上巳(じょうし・じょうみ)の節句」と「桃の節句」があげられます。

ひな祭りの由来とされるのが上巳の節句で、桃の節句はひな祭りの別称です。

〈上巳の節句〉

上巳とは、3月の初めの巳の日(縁起の良い日とされている)のこと。

古代中国では、この3月3日の奇数が重なる不吉とされる日に、体を水辺で清めて邪気払いをする風習がありました。

「水辺で行う邪気払い」に近い日本の風習が、流し雛です。

これら2つの風習が融合し「上巳の節句」となったとされています。

そして上巳の節句に平安時代頃、貴族の間で流行っていた人形遊び「ひいな遊び」が結びつき、今の「ひな祭り」となりました

〈桃の節句〉

旧暦の3月3日は、ちょうど桃の花が咲く時期と重なっています。

また、桃の木には邪気払いの力があると信じられ、縁起の良い植物という由来からも、3月3日のひな祭りを桃の節句と呼ぶのです。

【ひな祭りはいつ行う?】

現代では基本的に3月3日がひな祭りの当日とされています。

地域によっては4月3日に行うところもあるようです。

旧暦の3月3日は現代の暦では4月3日に該当します。
そのため、昔の人と同じ暦で行事を行う地域やご家庭では4月3日に行うようです。

実際、4月3日は桃の花が咲く季節にもなるため「桃の節句」の名前にふさわしいタイミングと言えるでしょう。

3月3日と4月3日、どちらかが誤りというわけでは決してありません。

ご家庭やお住まいの地域に合わせた、良きタイミングにお祝いをすると良いでしょう。

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ひな人形を飾るのはいつからいつまで?

まだ小さい子どもが雛人形の準備をしているところ

明確な日にちが決まっているわけではありません。

一般的には節分の翌日(立春)から2月中旬頃までに飾るご家庭が多いでしょう。

ただ、ひな人形を飾り始める最適な日としては立春がおすすめです。

立春は旧暦で1年の始まりと考えられ、季節の節目はこの立春を起点として設定されました。

そのため、立春はとても縁起の良い日とされているのです。

節分の日より前に飾っても、問題ありません。

大切なのは片付けるタイミングです。

人形を飾ったままだと縁起が悪いと言われているため、ひな祭りが終わったらなるべく早いタイミングで片付けるようにしましょう。(3月4日に必ず片付けなければならないわけではありません)

【ひな人形を早く片付けなければならない理由】

流し雛、お雛様とお内裏様を簡略化した小さな人形が川に流されている

早く片付けた方が良い理由としては諸説あります。

例えば、ひな人形を片付けることは、川や海に流すのと同じ意味合いがあるとする説。

ひな祭りの由来である流し雛では、災いを移した人形を川や海に流すことで災いを遠ざけていました。

災いを移した人形をそのまま飾っておくと、災いがこちらへ戻ってくるとの考えから、この説が信じられているようです。

また一説には、結婚する時期が遅くなるとも言われています。

娘を嫁がせることが親の義務だった時代、他家へ嫁がせることを「片付ける」と形容していました。

この共通点から、ひな人形を早く片付けないと娘が片付かないとの言い伝えが生まれたようです。

これは、ひな祭りが終わったのにいつまでも人形を出したままの状態を戒めるための警告に近いお話のようですね。

〈一夜飾りはなぜダメなの?〉

ひな祭り前日の3月2日にひな人形を飾ることを「一夜飾り」と言います。

これは縁起が悪く、避けた方が良いとされる行動です。

なぜ縁起が悪いのか、これにも諸説あります。

そのうちの1つが、前日に準備することが失礼にあたるとの説です。

ひな祭りは3月3日の前日(宵節句)から始まっているとする考えが、この説の前提として存在します。

また、前日に慌ただしく準備を行い、当日の式が終わったらすぐに片付けに入る流れが葬儀前の準備〜葬儀後を思わせるため、縁起が悪いとする説もあるようです。

前日の準備は心にゆとりがなく無作法になりがちです。

そのような状態でひな人形を飾ると人形を痛めてしまったり、思わぬ事故を招いたりする可能性もあるでしょう。

地域によって一夜飾りに関してさまざまな説がありますが、おおむね否定的な考えで浸透しているようです。

伝統を楽しむひな祭りのすすめ

お雛様とお内裏様

ひな祭りは昔も今も、多くの人々に愛される行事です。

小さい頃、ひな人形を飾るのが楽しみだった人も多いのではないでしょうか。

ひな人形を飾り、おいしい料理やお菓子を囲みながら、昔話やこれからのことを語り合うのも良いですね。

ぜひ、今回のコラムを参考にすてきなひな祭りを迎えてください。