コラム
Column
節分の由来や豆まきの意味とは?節分に食べる縁起物についても解説
節分になぜ豆をまくのか、なぜ恵方巻を食べるのか……。
こんな素朴な疑問を持ったことはありませんか?
節分には、古くから人々に親しまれてきたさまざまな風習があります。
年に一度の特別な行事、より深く知ることで次の節分はいつもとは違った楽しみ方ができるかもしれません。
今回は節分の由来や豆まきの意味などについて、解説します。
節分とは?
節分とは、一年間の健康と幸せを願って悪いものを追い出す行事とされています。
この日には豆まきをして邪気を払ったり、恵方巻のような縁起物を食べたりするのが、一般的な節分の過ごし方とされています。
豆をまく際「鬼は外、福は内」と唱えますが、ここで言う「鬼」とは病気や怪我などの邪気を表していたそうです。
節分の発祥は平安時代にまでさかのぼります。
発祥そのものは日本の宮廷行事ですが、一部では中国の風習が取り入れられていることはご存知ですか?
鬼を追い払う行事は、平安時代の宮中で行われた「追儺(鬼やらい)」が起源とされています。
この時点では豆をまく行為はなく、弓矢を用いていたそうです。
変化が起こったのは室町時代以降。
中国の明時代の風習であった豆まきが日本へ伝わり、追儺と合わさることで今の形となったのです。
【節分はいつ行う行事?】
節分は2月の立春、その前日と決められており、立春が何日なのかは、その年によって日付が異なります。
立春が2月2日のときもありますし、4日の場合もあるため、節分もその年によって異なるのです。
2025年の立春は2月3日(月曜日)であるため、節分はその前日の2月2日になります。
〈立春とは〉
立春とは、二十四節気(※)において春が始まる日のことです。
二十四節気は旧暦における季節の表し方で、私たちが使用する暦(太陽暦)で考えた場合、立春にあたるのはおおよそ2月4日ごろ。
寒さの峠を越え、春の気配が感じられる時期とされています。
ちなみに、挨拶状では立春のタイミングで「寒中見舞い」から「余寒見舞い」へ変更しなければなりません。
立春は年によって日にちが変わることがあります。
これは具体的な日数が定められているのではなく、国立天文台が観測した太陽と地球の位置関係によって決まるためです。
※1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの。旧暦において季節を表すために用いられた。
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豆まきの目的と正しいやり方
豆まきは、鬼を外へ追い出して福を家の中へ呼び込むことを目的としています。
鬼と聞いてイメージするのは、赤い肌に角を持った大きな大男ではないでしょうか。
諸説ありますが、鬼は病気や怪我、不幸などの災いを招く象徴とされていたようです。
そのため豆まきは鬼退治や鬼そのものを追い払うというより、邪気を払うことを目的としていました。
【なぜ「豆」まきなのか】
なぜ邪気を払うために、豆を使用するのでしょう。
豆は、人間にとって大切なエネルギー源となる食材。
そのため、霊力を持っていると信じられていました。
その豆の力で鬼(=邪気)を払い、さらにその豆を食べることで力をいただくことができるとされたのです。
特に、ただの大豆ではなく「豆を煎る」が「魔目を射る」と言葉遊びできることから、煎り豆を使用した方が、より縁起が良いとされています。
また、豆まきでは主に大豆を用いますが、昔は米などの穀物を使用することもありました。
五穀豊穣を幸せの象徴としていた当時は、穀物を投げることで幸せが訪れると考えていたようです。
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【豆まきのタイミング】
いつ行っても良いですが、豆まきの最適なタイミングは日が落ちたころから夜にかけてと言われています。
鬼がやって来る時間帯が、夜とされているためです。
ただ、実際に行う際は近所の迷惑とならないよう配慮しながら行うようにしましょう。
豆まきの手順
豆まきは家の中の悪いものを追い出し、福を中へ入れるためのものであるため、入口と出口を用意しておく必要があります。
豆まきを行う場合は、外に面した窓や扉を開けておきましょう。
また、家の奥側から順番に行い、最後に玄関に豆をまくことで効率良く鬼を追い出すことができます。
- 部屋の窓や扉を開ける
- 「鬼は外、福は内」と唱えながら豆をまく
(福を呼ぶ際は室内に向かって豆をまく) - 豆をまきおわったら窓などを閉じる
- 次の部屋へ向かい、1〜3を繰り返す
- 豆まきを終えたら、室内に落ちた豆を拾う
- 満年齢+1個分の豆を食べる
節分に自分の年の数だけ豆を食べることは有名ですね。
ここで言う「自分の年」が、数え年(満年齢+1年)なのか満年齢なのか、特に決められているわけではありません。
ただ、比較的多いのは数え年の方でしょう。
昔は、12月31日ではなく節分の翌日から新たな年が始まるとされていました。
新たに始まる年分の無病息災を祈るため、数え年だけ豆を食べるのが一般的であったとされています。
地域やご家庭によっても異なるようです。
豆まきの手順も、地域によって細かな違いがあります。
そのため、今回ご紹介したのは基本的な豆まきの手順ですので、ご留意ください。
恵方巻を食べる理由
節分と言えば豆まきと恵方巻ですが、恵方巻を食べる理由はご存知ですか?
最近ではさまざまな具材を包んだ恵方巻が販売されていますが、基本の恵方巻は7種類(かんぴょう、しいたけ、桜でんぶなど)の具材を巻いたものです。
7種類の具材を包むことが七福神の「福を巻き込む」ことの比喩となり、それを食べることで福を取り込むことができるとされてきました。
また、恵方巻を切らずにそのまま食べることにも意味があります。
切らずに食べることで「縁を切らない」「運を逃さない」などの意味を込めているのだそう。
【なぜ黙って恵方巻を食べるのか】
食べる途中でしゃべると、せっかく取り入れた福が逃げてしまうためと言われています。
節分に食べる恵方巻以外の縁起物
節分に食べる縁起物は、恵方巻だけではありません。
意外と知られていませんが、節分にぴったりな縁起物はいくつもあるのです。
【イワシ】
関西地方の一部では、節分の日にイワシを食べる風習があります。
無病息災の意味を込めているのだそう。
また、食べるだけでなく関西地方では焼いたイワシを柊と一緒に飾ることもあります。
鬼はイワシのにおいと柊の棘が苦手とされており、これらを飾ることで鬼を追い払う意味があるようです。
【そば】
そばは麺類の中でも切れやすいため、厄落としの意味を持つため縁起物とされています。
長く伸び、補足切れることから長寿の意味を持つとも言われています。
旧暦が使われていたころ、年越しそばは12月の大晦日ではなく2月の節分に食べていたのだそう。
昔は新年=立春と捉えていたため、冬が終わり新しい一年が始まる立春の前日に縁起物であるそばを食べていました。
これが年越しそばの由来と言われているようです。
【福茶】
福茶とは、無病息災を祈っていただくお茶のこと。
お茶には大豆、昆布、梅干しを入れます。
入れる豆は3粒にしましょう。
「3」は「みつ」との呼び方が「満つ」「充つ」と同じであることから、縁起が良いとされています。
【けんちん汁】
けんちん汁は大根、にんじん、ごぼう、こんにゃく、豆腐などをごま油で炒め、だしで煮込み、しょうゆなどで味付けをした汁物です。
関東地方では節分のときにけんちん汁を食べる風習があります。
節分は寒い時期に行われる行事のため、体を温めるためにけんちん汁を食べるようになったそうです。
【くじら】
山口県では節分の時期にくじらを食べる風習があります。
山口県に限った話ではありませんが、節分には大きなものを食べると縁起が良いと考えられていました。
そのため、山口県では特にくじらを食べることで「大きく、健康に育つように」「志を大きく」などの願いを込めているのだそう。
例年とはちょっと違う特別な節分
今まで当たり前に行っていた節分の行事。
ただの楽しいイベントではなく、そこにはそれぞれ意味が込められています。
次の節分ではその意味に少し思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
さまざまな縁起物を食卓に並べるのも楽しいですね。
今回のコラムを参考に、次回の節分はぜひいつもとちょっと違う節分を迎えてみてはいかがでしょうか。