2025.03.05

求肥とは?お餅や白玉との違い、和菓子に欠かせないその魅力を解説


和菓子に欠かせない材料の一つ「求肥(ぎゅうひ)」。

大福や練切などに使われ、ほんのりした甘さと、もっちりとやわらかい食感が特徴です。

一見、お餅のようですが、実は大きな違いがあるのです。

今回は、求肥の基本から、お餅や白玉との違いまで、その魅力を詳しく解説します。

もち米由来なのにお餅とは違う?求肥の特性

枡に入れられたもち米

もち米を原料としている点ではお餅と共通していますが、作り方が異なるため、食感や用途に違いがあります。

お餅は蒸したもち米をついて作るのに対し、求肥はもち粉に水あめや砂糖を加え、練り上げて作るため、特有の弾力が生まれるのです。

さらに求肥は、冷めてももっちりとやわらかい食感を長時間保ちます

これは、水あめや砂糖が水分を保持するためです。

一方のお餅は冷めると固くなり、温め直さないと本来のやわらかさに戻りません。

この特性から、求肥は大福や練切などの和菓子に適しており、お餅とは異なる役割を持つ材料として親しまれています。

求肥の名前の由来と日本の食文化との関係

「ぎゅうひ」という名前を聞いて、「牛の皮?」と驚いた方もいるかもしれません。

実は、一説によると求肥はかつて「牛皮」と呼ばれていた時代がありました。

求肥が日本に伝わったのは平安時代。

当時の求肥は玄米や黒糖が使われていたため、現在のような白い見た目ではなく、黒っぽい色をしていたのだそう。

その見た目がなめした牛の皮に似ていたことから、「牛皮(ぎゅうひ)」と呼ばれるようになったと言われています。

しかし、当時の日本では仏教の思想から、牛や豚、馬などの肉食が避けられていたため、「牛皮」の表記から同じ発音の「求肥」に改められたのだそうです。

求肥と似た食品の違い

求肥はお餅や白玉など、もち米由来の食品と見た目が似ているため、混同されることがあります。

それぞれの違いを理解することで、適切な使い方ができるようになるでしょう。

お餅との違い

大きな真っ白いお餅。香梅で販売している一升餅

求肥とお餅の違いは、作り方にあります。

お餅はもち米だけで作られるため、お米本来の風味が生かされていますが、求肥は水あめや砂糖が含まれるため、やわらかい甘みのある仕上がりになります

そのため、お餅はお雑煮や焼き餅など幅広い料理に使われる一方で、求肥は大福や練切などの和菓子に適した食材として親しまれています

保存性のポイント

求肥を保存する際は、常温か冷凍がおすすめです。

冷蔵庫で保存すると、水分が抜けてしまい、食感が固くなってしまうため注意が必要です。

特に、求肥を使用した大福などの和菓子は、一つずつラップに包み、タッパーやジッパーなどの密封容器に入れて冷凍をすることで、食感を損なわずに保存できます

解凍の際は、食べる2時間ほど前に冷蔵庫へ移し、食べる30分ほど前に常温で解凍すると、元の食感が楽しめるのでおすすめです。

白玉やすあまとは何が違う?

求肥と似た食品には、白玉やすあまがありますが、それぞれ製法や食感に違いがあります。

白玉は、もち米を一晩水に浸してすりつぶし、でんぷん質を取り出した白玉粉で作られます。

そのため、白玉は求肥よりも弾力があり、つるんとした滑らかな食感が特徴です。

どちらかというと、お餅に近い存在と言えるでしょう。

一方、すあまは米粉に砂糖を加えて蒸したもの。

求肥と同じく甘みがありますが、原料や製法が異なるため、食感にも違いがあります。

求肥はもっちりとやわらかく伸びるような弾力があるのに対し、すあまはもう少し歯切れのよい仕上がりになります。

求肥をあんこで包んだ香梅の和菓子紹介

誉の陣太鼓
誉の陣太鼓

求肥をあんこで包んだ、熊本銘菓「誉の陣太鼓」のご紹介です。

風味豊かな北海道産の大納言小豆でつくる餡で、舌触り滑らかな求肥が包まれています。

ずっしりとした重厚感ある見た目から、とても甘いと思われている方も少なくない陣太鼓。

しかし実際は、さらりと上品な甘さに仕上げてあるので、普段お菓子を召し上がらない方にもおすすめです。

「さっぱりした甘さで、ぺろっと完食してしまいました」とのお声もいただいています。

常温で食べるのもおすすめですが、直前に冷蔵庫で冷やしていただくと中の求肥がよりもっちりとした食感に。

贈り物としてはもちろん、お茶請けにもぴったりな「誉の陣太鼓」。

和菓子好きの方には、ぜひ一度味わっていただきたい逸品です。

ハーフサイズの「特製陣太鼓」もおすすめです。

「誉の陣太鼓」の購入ページはこちら